ふれあい診察室

2015.06.24更新

 いわゆる良い子というのは自分を見失った子とも言えるようだ。Sさんは小学校三年生の明るくかわいい女の子である。ある時お母さんがSさんの筆箱を見てみると見慣れない鉛筆が入っていた。聞いても友達にもらったとしか答えない。しかし、それがたび重なるので、追求したところ盗んだものだと言うことがわかった。いままでのSさんでは考えられないことなので訳を聞いてみると「悪い子になりたくなったの」と言う。
 このお母さんはそれまでうつ病で治療に通っていて、自分自身を再発見でき始めた矢先のことなので、自分の変化とも関係あるのではと直感して相談に見えたものである。「今までのお母さんと同じように良い子すぎて羽目を外せなっかたのでしょう」とアドバイスしたのであるが、そこでこのお母さんは考えて、夏休みの間中、Sさんと二人で「悪い子の練習をしましょう」と言いながら羽目を外して遊び回ったそうである。それまでも明るかったSさんはさらに輝くような明るい子になっていった。
 ところが、新学期になったら次第に暗い表情になり、やがて朝になると頭痛や腹痛を訴えて典型的な不登校になってしまった。理由は、良い子だったSさんは学校でしかられたことがなかったのに、学校でも羽目を外すようになって先生にしかられて今までに経験のないショックを受けたことがわかった。そこでお母さんはあわてずに「それじゃ、また悪い子の練習をしましょう」と二人で遊びに出かけたそうである。2、3日したら「このままお母さんにつきあっていたら本当の悪い子になるから学校へ行くことにした」と登校するようになった。それから数年経つが「しっかりした子になりました」とお母さんが報告してくれた。

投稿者: オボクリニック

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