ふれあい診察室

2014.06.19更新

 アリとキリギリスという寓話がある。働き者のアリを笑っていた怠け者のキリギリスが冬の準備を怠って寒さに震えてしまうという内容である。大切な道理が描かれている有名な話であるが、ここに思わぬ落とし穴が潜んでいる。
 Kさんは50代後半の男性であるが、うつ病との診断で一年近く治療しているが、好転しないとのことで相談に見えた。聞いてみると家のローンが終了し、二人の娘を嫁にやり、一段落した頃から、具合が悪くなってきたようである。いわゆる典型的な「荷下ろしうつ病」である。 Kさんは真面目一筋で一家の柱としての役割を果たしてきたわけであるが、その責任を全うしたとき、うつ病を発症したのである。
 Uさんは大学二年であるが、大学に入学以来それまでの受験勉強の反動で、なにをやっても詰まらなくいわゆる「燃え尽き症候群」に陥っている。今までの人生、他のすべてのことを犠牲にして受験戦争を戦ってきたのであるが、これからも良い就職をするために大学での勉強に励み、一流企業に入ったらさらに、その中で出世するために努力することを考えるとすべてがむなしく思えてくるという。
 KさんもUさんもがんばりやでアリ型の生き方をしているわけであるが、決して楽しんで生きていない。「我慢して努力した先に幸せが待っている」という幻想に真面目な人ほど惑わされ、がんばるわけである。しかし大切なのは「今」ではないだろうか。同じ働くのでも、勉強するのでも、楽しんでやることはそれ自体に価値があるといえよう。苦労を耐えるという後ろ向きな生き方ではなくその大変さを楽しむとき、結果はどうあれ、すべて人生に生かせていけるのではなかろうか。

投稿者: オボクリニック

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