ふれあい診察室

2014.05.19更新

 「二十年以上、幼児教育に携わってきて、比較は何の価値も生まないと実感しています」とはある幼児教育の専門家の述懐である。比較は子供たちを差別することであり、比べられて育つ子は優越感と劣等感の泥沼に追い込まれ、ありのままの自分を受け入れ、自信を持つことが困難となっていくということであろう。
Iさんは二十代後半の女性だが、対人関係で緊張してしまい仕事を続けることができなくなって家に閉じこもる生活を送っている。対人関係の緊張は子供の頃からあったという。Iさんは3人姉妹の真ん中で育ったが、親たちから姉と妹は美人なのにあなただけは不器量だ、一番ぶすな子だといつも言われたという。世間的にみればIさんは美しい人なのだが、小さい頃からの低い評価が染み込んでいるせいかいつもおどおどしている。そして、自分に自身がないためにいつも周りに気を使い、気の休まる時がない、こうして疲れ果て、やがて引きこもるようになったものである。
 Iさんのように引きこもりに陥る若者は現代では決して少なくない。これらの若者に共通しているのは対人関係で非常に緊張が高いことだ。競争社会の中で常に、周りと比べられ、競って生きてきて、その緊張をもうこれ以上持続できないというところまで追い込まれた結果の引きこもりなのである。さらに、見てみるとIさんの場合でも見られるように、その緊張の背後に自己評価の低さが認められるものである。
したがって、Iさんの治療はこの自己評価を再構築することが必要であった。「自分のことをいいなと思えるようになってきたら、私でも人のことを好きになってもいいのかなと思うようになってきました」と遠慮がちながらも最近では対人緊張もかなり薄らいできて、外出の楽しさもでてきたという。笑顔にも力強さが見られる昨今である。

投稿者: オボクリニック

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