ふれあい診察室

2015.05.26更新

 同じことをしても、価値観の違いでずいぶんと結果は違ってくるものである。
日本人は「働かざるもの食うべからず」という。ラテン系の人は「遊ぶために働く」そうである。
 45才のTさんは二年前の秋頃より頭がしびれるようになり、やがて後頭部の頭痛がひどくなったため、職場を一ヶ月休んだ。少し改善したので出社してみたが、やはり仕事どころではないため、受診された。再び病気休暇を取ったが、職場復帰を焦るのでなかなか本当のリラックス、リフレッシュができない。しかし、いつまでも休んではいられないということで復職した。その後は仕事量を減らしてもらってなんとか仕事には行けているが、休みがちなために給料も半減してしまった。
 Tさんにこんな例え話をした。「無理して働かせて倒れた馬がいるとします。少し休ませたからもう良いはずだと再び働かせる。しかし、馬は疲れが取りきれていないためにすぐ休もうとする。すると、甘えだ。我が儘だ。と責めたて、働きの悪いその馬にさらに鞭打つ。これを続けて果たしてその馬がいつか元気になることができるでしょうか」このように馬に例えてみるとずいぶんひどい話であるが、似たようなことを自分自身にしてしまうのがTさんのような真面目な人の特徴である。自分に対しては相当残酷なことをしてもおかしいと感じないところが奇妙である。その背後に「働かざるもの食うべからず」という一見もっともらしく、しかし残酷な価値観があって人を追い立てているからであろう。ラテン系の人たちのように「遊ぶために働く」といった価値観であればそこまで自分自身を追いつめることはしないであろう。ともあれ、衆生所遊楽という言葉があるように仕事も人生も味わい楽しんで生きていきたいものである。

投稿者: オボクリニック

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